なんでも防災百科2 明日にもやってくる南海トラフ巨大地震(相模トラフと南海トラフ)
少し前の映画(2006年 草彅剛主演)になりますが・・・いやいや大昔の作品(1973年 藤岡弘主演)を見たことのある方も少なくないでしょう・・・
日本沈没という映画をご覧になった方には、『トラフ』という名称は馴染みのある言葉だと思います。
『トラフ』とは、水深6000m以浅の海底盆地(舟形海盆とも言います。以下舟形海盆と表記します)をいい、水深6000m以上の深海にあるものを『トレンチ(海溝)』といいます。
相模トラフは、相模湾から日本海溝に至る約250kmにわたる細長い舟形海盆で、フィリピン海プレートの北東端が北米プレートの南端にぶつかって、北米プレートの下に潜り込んでいる場所です。
フィリピン海プレートは、三つのプレートに接していて、複雑に折り重なっています。
一方東から伸びてくる太平洋プレートは、相模トラフで北米プレートに、伊豆小笠原海溝でフィリピン海プレートの下に沈み込んでいます。
さらに西にかけてユーラシアプレートに沈み込んでいます。
このユーラシアプレートに沈み込むところが駿河湾から日向灘にかけての南海トラフと呼ばれている場所です。
この複雑に絡み合う相模トラフと南海トラフでは、過去何度も巨大地震が発生しています。
南海トラフでは、過去100年から150年程度の周期でM8以上の巨大地震が発生していて、大きく分けて発生する場所により3つにむ分類されます。
1.駿河湾近辺(東海地方)で発生するものを東海地震
2.遠州灘近辺から紀伊半島近辺(中部から関西地方)で発生するものを東南海地震
3.紀伊半島から四国南方沖(関西から四国地方)で発生するものを南海地震
南海トラフ巨大地震の発生が懸念されていますが、この南海トラフ巨大地震とは、この3つの地域の何れかで起きるM9クラスの超巨大地震(なんでも防災百科1参照)のことを言います。
過去の歴史では、しばしば駿河湾から四国南方沖までこの3つの地域の地震が連動(歴史上数時間から数年の間、あるいはほぼ同時に連動して発生)して起こっています。
1707年(宝永4年)10月に発生した地震は、南海トラフのほぼ全域に渡って断層破壊が生じたと推定される巨大地震で、『宝永大地震』と呼ばれています。
その49日後には富士山が『宝永の大噴火』を起こしています。
最近のこの地域での地震は、1944年に東南海地震(M7.9)が、1946年には南海地震(M8)が発生し、いずれも死者1000人以上の被害がもたらされています。
東海地震は、宝永大地震から147年後の1854年に安政東海地震が発生しています。
この安政東海地震は、この三つの地域が連動した南海トラフ巨大地震だったといわれています。
1854年以降170年も東海地方を震源とする巨大地震は発生していないことから、次の東海地震の発生が懸念され、一時は大規模地震対策特別措置法に基づき予知体制が整備されましたが、現在の政府の公式見解では「地震予知は現在の科学では不能」とされています。